一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒

本の中だったり、映画の中だったりで出てくる言葉を定期的に紹介したいと思います。他にも好きなことを書きます。

言葉ログ#7 "ぼくらは無駄に「日本」というものを意識しすぎているのかもしれない"

日本の課題、日本再興戦略、みたいな話を聞くと、わたしは辟易としてしまう。

国とか、企業とか、地域とか、そんな虚構の話をする前に、自分という個人をじっと見つめて、問いと答えを提示していくことを優先すべきだと思う。

 そもそも、ぼくらは無駄に「日本」というものを意識しすぎているのかもしれない。「日本人、ここにあり」なんていまさら気張られても、世界的にはおそらく何のことやらな話だ。人が気にするのは最終的には「あんた、なにができるの?なにやりたいの?」でしかないはずで、グローバル市場というのは、ことさらそういう場所だろう。

 取材先で訪れたパリでは、いま日本人シェフのいるレストランが人気なのだという。なにも日本食に限った話でもないようで、フレンチでもスーシェフが日本人である店にお客さんが集まっていると聞いた。そういう行き方もあるのだ。「日本人の強み」なんて抽象論に時間を割くよりも、世界を舞台に勝負できる「自分の強み」が何であるのかをより現実的に見極めることのほうがいまは有意義なはずだ。それが見えれば、自分がどこで誰に求められているのかもはっきりするはずで、となれば「業界」や「経済」がどうなろうと、少なくとも自分は生きていける。頼まれもしないうちから日本を背負わずとも、まずはそれでよしとしたらいいのではないだろうか。 (寿司でいくか、ハンバーガーでいくか)p62

大上段に構えずに、自分は何がしたくて、なにができて、それを問わなくてはいけない。