言葉ログ#2 揺れないこと、揺れても焦らないこと
仕事でばたばたする日が続いていてしんどいなーと思うことが多いんですが、心を落ち着けておくための言葉をまとめておこうと思いたちました。
どなたかの参考になればと、ここにおいておければと思います。
1. 壁にぶつかって当たり前。
岩もあり 木の根もあれど さらさらと
たださらさらと 水の流れる
(甲斐和理子)
甲斐和理子さんは京都女子大学の創始者です。激動の明治期に女子のみが集う学校を作り上げたその胆力。
岩があろうと、木の根が張っていようと、水はただその間を流れていく。
人の生もまっすぐに進むのが当たり前ではなく岩や木の根があるのが当然で、水のごとく執着せず過ごしなさい、と。
2. かってな想像でかってに苦しんでるだけ。
We suffer more often in imagination than in reality.
私たちが苦しむのは、現実に起きていることのためというよりは、もっぱら頭のなかで起きていることのためである。
(セネカ)
2011年出版の『ファスト&スロー』では、わたしたち人間がこれだけ地球上で広範囲に成功できている要素の一つとして「現実には存在しない虚構を信じる力」を挙げています。その一方で、まだ見ぬ未来や過ぎ去ってしまった過去について想像を巡らせ、「あの時こうしておけば」「こんなふうになったらどうしよう」と後悔や不安の念が常に私たちにつきまとうのも、この虚構を信じる力のためです。
ストア派の哲学者だったセネカは、理性の力を取り戻せ、といいます。自然がさまざまな障害を与えられたとしてもそれを受け入れ新たな生態系を築くように、人もあらゆる障害を自己の目的を叶えるための素材とせよ、と。
苦しむのは虚構にとらわれているから。現実を直視し、理性の力で克服し、自らの人生の充実に邁進すべし、と。
3. 揺れても沈まない。
僕はきっと船みたいなものなんだと思う。いつも強い風や波にさらされて大きく傾きながら、それでも何とか沈まずに浮かんでいる。障害物も多いから、方向転換も頻繁にするし、時々は後戻りもしなくちゃならない。
でも、全体としては、苦しみながら、ゆっくりでも前に、自分の思っている方向に向けて進んでいる。
(デイビッド・ブルックス『あなたの人生の意味』)
大好きな言葉の一つに、「たゆたえども沈まず(Fluctuat nec mergitur)」があります。16世紀からフランス・パリ市の紋章に刻まれていて、革命や戦乱のなかでも生き残ってきた決意のひとことです。
どんなに強い風が吹いたとしても揺れるだけ。決して沈むことはさせない。
転覆したらすべてが台無しになってしまうから。
本のブログの方もちょくちょく更新しているので、よければ御覧ください:-)